カテゴリー「【3.Film】DNP CENTURIA 100(終)」の投稿

2012/05/11

Blue RIVER(42)

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多分私は、海よりも川が好きだ。川が身近にあったせいだろうか。

 

古川という川は、子供の頃はどぶ川に近い扱いをされていた。

高度成長期辺りから生活排水だけでなく、

町工場の工業排水も垂れ流しだったせいだろう。

もっと昔、義理の父の子供の頃は、川に入って遊んでいたらしいが、

確かに、特に梅雨時から夏にかけては、悪臭が漂っていた記憶がある。

そして今でも、特別きれいな川では決してない。

まして田舎の川のイメージから比べれば、まったく違うものだと思う。

それでも、鯉が住み、カモやサギ、セキレイがくるまでには復活した

(現在は落合水再生センターで高度処理した再生水を送水しているとのこと)。

古川(渋谷川)についての詳細はこちらこちらもどうぞ。

 

川、というか水の流れている場所に、どういうわけか惹かれる。

橋を渡るときについつい、川を覗き込んでしまう。

そこには得体の知れない何かがいるような気がして。

だから古川にかかる橋を渡る時も、必ず一度は川を覗く。

夏は夏で、独特の磯臭い匂いで季節を感じてほっとする。

今は長い工事に入ってしまった一の橋公園の橋の、

定時の噴水に至っては、時々わざわざ見に行くほど好きだった。

木の橋と紫陽花、そして最初の頃の木の船は素敵な景色だった。

 

そんなに好きな川にも関わらず、古川が海に注ぐ場所を見たことがなかった。

むしろ古川は古川であって、当然海に繋がっているのは知っていても、

ほとんど流れのない川を見てきたからか、どこにも行き着かない、

細長い池のような感覚だったのかもしれない。

そんなわけで、この日は古川が東京湾に流れ込むところを

見に行こうと思い立ったのだった。

 

 

赤羽橋から首都高の下を、古川に沿って芝園橋、将監(しょうげん)橋、

金杉橋と進んで行き、浜松町で小さなトンネルを通って山の手線を越えると、

しばらく川がフェンス越しに見え隠れしてしまう。

そしてそれが過ぎた場所が、海だった。

 

それを目の当たりにした瞬間、感動を覚えた。

どこにも行き着かないと思っていた川、古川は、

ちゃんと海に辿り着いていた。

 

 

 

この日は、わざとタングステン用のフィルターをつけて撮ったので

写真では分かりづらいが、ものすごい陽射しの晴天だった。

時間帯もちょうど正午過ぎで、風があったせいで歩けたが、

トップライトの港では携帯で写真を撮ってもモニタがまったく見えないほど。

 

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こんな晴天で風がある日、陽射しさえ辛くなければ、

海上はさぞ気持ちいいことだろう。

 

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。携帯サイトはこちら↓
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2011/12/04

再生(20)

00

 

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3月11日の震災以降、変わってしまったことはたくさんある。

震災後、初めて写真を撮りに歩いたのは、8日目のことで、

まだまだ原発事故の渦中でもあったし、

あの地震を生き延びた実感すらまだ半信半疑だった。

なにしろ1年経った今でも、東北や千葉で震度3ほどの地震があると、

時には20分以上も揺れが続く、免揺木造建築の我が家。

震災当日、4匹の犬猫と人間ひとりで部屋にいた時には、

途中から家が倒壊する覚悟を決めたくらいだったのだから。

 

10

 

時が経つにつれその恐怖も薄らいではいくけれど、

人の心からまったく消えてなくなることはないはずだ。

この日歩いたのは、基礎ともいえる三田新広尾公園付近から有栖川公園付近。

写真を見ていくと、以前撮った場所や景色、被写体をなぞっているような、

あるいは1からまたスタートするかのようなものがほとんどだった。

 

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。携帯サイトも♪

 

Qr

 

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2010/03/13

early spring -2010-(29)

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プラナーの試写2回目。

前回はウルトラを入れていたので、今回はセンチュリアを選んだ。

このフィルムももう手に入りづらくなっているのでもったいないが、

ツァイスブルーを意識して、テストの意味でこの選択をした。

が、期限切れの影響が出ていても発色はウルトラの方が良かった気がする。

季節柄、道端の草や小さな花たちが美しく、その描写はいいと思った。

 

前週に少しフィルムを使っていたので、この日は短めの散歩。

晴れてはいたが風が冷たく、陽が翳ると寒いくらいで、

体調も良くなかったこともあり、早めに切り上げた。

最近は3時間以上歩かないと物足りないので、

実質1時間とちょっとの散歩はかなり短いといえるだろう。

 

ルートは東麻布を出発して小山町に入り、伐られた銀杏に手を合わせようと行ってみたら、

すでに跡形もなく、工事が進められていた(モニュメントを作る工事だったと後日判明。悪趣味である)。

まさに枯れるのを待っていたかのような・・・いや、むしろ、

最初から予定していたようにエクステリアができ始めていて、唖然とした。

偶然、小山町に住む友人に会って銀杏の話をすると、彼も驚いていた。

 

この銀杏は御神木で、以前にほかの1本を伐った時には工事関係者などが何人も不幸に遭った。

地元では大変有名な話で、今また、悪いことが起こると考えている少なくない。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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2008/09/07

Rusty Sun(20)

05

  

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どちらもF-1だが、期限切れのアグフア400で撮ったタクマーが、

手放す前に撮った最後のアトム。アダプターを使用している。

フィルムが期限切れなので分かりづらいが、

ボケ、発色ともに非アトムとは比べ物にならない美しさ。

 

期限切れのフィルムは、このアグフア400の常温保存が一番好き。

いかにも色褪せた感じが出るのではないだろうか。

 

もう1本のセンチュリアはF-1にFD1.4で。

前者と比べると発色や移りの違いが歴然としている。

 

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撮影場所は三田小山町。

 

アグフアを入れているときに豊洲ららぽーとでも撮っているが、

それは2008年のまとめアルバムに入れてしまった。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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2008/04/20

曇り/晴れ/雨(35)

15

 

4月20日 曇り

EOS55 EF28-135 /3.5
AGFA ULTRA100

 

鳥居坂下から、暗闇坂を見上げる位置。

この眺めが、なぜか昔からとても好きだった。

写ってはいないが、このときはまだ右側に十番温泉(越の湯)があった。

道路の舗装や信号も新しくなり、

坂の途中の看板、黒いビルも昔はなかったが、

この風景はとても懐かしいまま。

 

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5月6日 晴れ

EOS55 EF50/2.5 compactmacro
AGFA VISTA100(期限切れ)

初めてカメラを手にした友達と元麻布~有栖川公園を散歩。

そのカメラがTTLも動かないSPだった。

それで1枚撮ってみて、後日衝動買い。

 

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5月31日 雨

EOS55 APO70-300/4.0 DG MACRO
DNP CENTURIA200

中途半端に残ったフィルムで、雨の小山町。

滅多にあめの景色は撮らないので貴重。

ちょうど時期だった紫陽花お百合は、

雨にも強い花だけに生き生きとして見えた。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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2008/02/17

early spring -2008-(42)

10

 

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17日、麻布十番と三田小山町で近所をちょっと散歩。

春一番が吹いた23日、お昼まではポカポカ陽気の最高気温17度。

まず元麻布を散歩して、午後から六本木を歩こうと出直したら、

一転して北風に、その夜はなんと気温0度まで下がったほどだ。

北風も突風というか暴風というか、なかなかないほど大荒れの天気だった。

久し振りに歩いた六本木は、黄砂で視界も曇っていた。

 

31

 

このステッカーもあちこちでよく見かける。

ここには昔、友達が住んでいてよく遊びにきた。

卒業した中学校が六本木にあったし、住んでいた時期、

仕事に通っていた時期も結構長くて、この辺りには思い出も多い。

ただ、あまりにも人や店が変わり、治安もますます悪くなって、

ほとんど足を踏み入れることすらなくなってしまった場所。

 

かなり久し振りに歩いたせいで、毎日のように遊んでいたスクエアビルや、

前の歩道が細い上に斜めに傾斜していて、

雪が降ると滑って歩けなかった丸源ビルが閉鎖していたのがショックだった。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 


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2008/01/03

取り残されて(28)

08  

 

すべてのものに光よ降れ

たとえそれが

わずかだとしても

 

 

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1月3日、麻布十番と三田小山町、1月6日、麻布十番~東麻布、麻布台。

この写真は、麻布十番4丁目の裏道に落ちていたもの。

ラーメンのだしに使った豚骨がゴミ袋からこぼれでもしたのだろうが、

見つけたときはちょっとドキッとしった。今見ても少し不気味。

 

天気はいいのに、正月のせいか人気がなくて、異次元のようだった。

ただでさえ誰も通らないような裏道の、取り残されたような片隅にも光が当たって、

それが嬉しくもあり、物悲しくもあった。

 

真っ青な空に飛行船が吸い込まれそうで、慌ててシャッターを切る。

意外とスピードの速い飛行船をいつも取り損ねるのだが、

この日は辛うじて収めることができた。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

 

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2007/12/16

時空(31)

25

 

未来の自分自身のために遺す 名もないものたち

 

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その日、いつもは素通りするコインパーキングを通りかかった時、

ふと何かに導かれるようにそこに足を踏み入れた。

特に変わった様子もない、この辺りではありきたりな駐車場。

建物が壊される度に、次の建設までの間の有効活用として作られ、

短い時には、1か月くらいでなくってしまうこともある類の。

 

その駐車場の突き当たりに竹やぶが見えて、

見るともなくその奥までフラフラ歩いていった。

そして柵の向こうを見た瞬間、目に飛び込んできたのは池。

 

池?

 

とっさのことで、頭の中が混乱した。

そこに行く前に近くの有栖川公園で池を撮ったばかりだったので、

その池と繋がっているのかと錯覚したほどの大混乱。

地理的に、そんな筈などある訳はないのに。

でも、それならなぜここにこんな池が。

しかもマンションの敷地内。

漸く頭の中で筋道だった思考がまとまりはじめる。

これは…がま池だ。

 

蝦蟇池。

それは30年以上前、私が小学校の低学年の頃にマンションの一部となり、

大部分が埋め立てられてしまった幻の池。

見た事がないのか、それとも見たのに幼すぎて記憶に残っていないのか、

私の中では長い間、畏怖さえ伴う憧れの対象になっていた場所。

いつもその閉ざされたマンションの前を通る度に、

悔しさと歯がゆさで胸が締め付けられる想いを味わっていた。

 

江戸時代に大火事があったとき、この池のガマ蛙が火事を消し止めたという伝説がある。

それは麻布七不思議にも数えられ、かつては500坪もの広大な池だった。

その池が思いがけず、目の前に現れた。

それもそこに何かが建つまでの短い期間限定だ。

ここに何かができてしまったら、生きている間には、おそらく二度と、

この池をまともに見ることはできないだろう。

もしくは、池自体が完全に埋め立てられてしまうのが先かもしれない。

(事実、何年か前にもその危機があり、池の面積はさらに小さくなったのではなかったか)

 

昔、この池から5~6分ほど離れた場所に住んでいた。

雨が降ると必ずこの池からガマ蛙がたくさん出てきて、

私の住んでいた家の方まできてはすぐに車に轢かれてしまうので、

道にさまよい出た蛙を見つける度に、子供の感覚では猫ほどもある

大ガマを抱き上げて、道の脇の草むらなどまで運んでいたものだ。

 

そのときの蛙たちが、そしてその池そのものが、

長い間見たい見たいと想っていた私の気持ちに応えるように、

『今なら見えるよ』

『見ていいよ』

と、あとから考えれば考えるほど、呼んでくれたような気がしてならない。

 

カメラを構えられる位置が限られていることと日差しの関係上、

非情にわかりづらい写真になってしまったけれど、

池の水面に映っているのはこの池を所有するマンション。

表側からは、一切この池の姿は見られないようになっている。

 

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それ以外にも、過去にタイムスリップしたような光景を目にした日。

まさに時空をすり抜けたような一日だった。

アルバムの中のペパーミントブルーの店があるビル、

駐車場に横の古いアパート、エノコロ草が生えた駐車場も、今はもうない。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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2007/12/09

静寂の音(38)

03

 

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この日は、麻布十番から善福寺を抜けて仙台坂を上がり、

有栖川公園で紅葉を撮って、元麻布から帰るという定番ルート。

 

12月だというのに夏のような日差しと気温で、風も強いのに歩くと汗ばむほどだった。

この日、初めてのセンチュリアを入れていたのだが、

善福寺のこの大銀杏と青空には最適なフィルムだったかもしれない。

いつも使っているアグフアは、空はそんなに得意ではないから。

 

24

 

特に紅葉をあてに出かけたわけではなかったのだが、

公園ではこんなに鮮やかにもみじが色づいていた。

立ち止まっていれば風も太陽も適度に心地よくて、

今まで体験した中で、二番目に素晴らしい快晴の日。

すべてのものが輝いていて、神聖な空気が漂うほど。

いつもなら撮っていないときはずっと歩きっぱなしの散歩なのに、

珍しく公園で一休みして天気と紅葉を味わっていたら

そこから動きたくなくなってしまったほどだ。

そもそも、子供の頃からなじみのある有栖川公園で、

こんなに綺麗な紅葉が見られるというイメージはなかった。

これならわざわざ、遠くまで出かけて撮る必要などないではないか。

それに味を占めてこの翌年、翌々年も同じくらいの次期、

紅葉を狙って足を運んでいるのだが、この2年はまったくの空振り。

最初の偶然が一番素晴らしい、というパターンの最たる例かもしれない。

 

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【柳の木】

柳の木が切られてい た。
好きだった木。
差し押さえで廃屋になっていた家のものだった。
住む者がなくなり、枯れかけては、いたのかもしれない。 
だからといって、それが切られてしまったのを目の当たりにすれば心は重い。
その柳の、春から夏は緑の葉をくぐり、
秋から冬は、寂しげにたれた枝をく ぐったものだ。

春が来ればまた芽吹き、見事な姿を見られるものと、
その繰り返しに終わりが来ることなど、
夢にも思 い浮かぶことなどなかった遠い日に。

 

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16

 

【最後の亀】

公園で写真を撮っていたら、
池の淵にいたおじさんに声をかけられた。
釣り 糸を垂れるわけでもなく、何をしているのだろう…
と思っていたところだった。
自分に言った言葉なのか判断できないほど、
ぼそり、とした呟きのような口調だった。

「亀の甲羅干し」

見ると1匹の石亀が 落ち葉に囲まれて、
まるでウトウトしているかのようだ。
カメラを持って歩いている私に教えてくれたのだろう。
ありがたく写真を撮っていると、またポツリ と。

「最後の亀」
 

一瞬、

え?

と思った。

 

落着いて考えてみればなんということはない、
ほかの亀はみんな冬眠に入ってしまい、
その亀だけがまだ残っているということだったのだけれど。





最後の亀。

 

私には、その亀が最後の生き残りのように思えてしまった。
一瞬の勘違い、そしてその刷り込みといえばそれまでなのだが。


最後の亀。

 

その日、夜になっても、翌日の朝になっても、
そのフレーズ、
そのイメージは、
なかなか頭から消えてはくれなかった。
地球上に残った、最後の一匹の亀のイメージ。

 

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33

 

マンションの建物へと続く私道の坂。
銀杏、椎、月桂樹などの木がある。

 

【マツダマンション】

私が母と住んでいた家と、叔母の家は目と鼻の先で、
幼稚園から中学校まで、私はふたつの家を行ったり来たりで育った。
叔母の家は当時珍しいアメリカ形式のマンションで、
庭もあり、子供にとってはまたとない遊び場所だった。

その敷地はちょっとした丘になっていて、
建物自体はその丘の頂上に建っていた。
裏には小さな公園もあり、庭の木々と公園の桜、
エ ントラ ンスの坂には椎の実と月桂樹、銀杏。
子供心にも夢のような場所だった。
以来今まで、その場所に戻ることが叶わぬ夢になっている。

そこは20何年か前に新しい高級マンションになり、
その後も毎日その前は通っていたけれど、
足を踏み入れるこ とはなかった。

部外者立ち入り禁止。

そんな雰囲気で溢れていたから。
もう二度と、そこに立ち入ることはできないのだと思っていた。



今朝までは。



ここ半年写真を撮るようになって、
ま たその付近に足繁く通うようになり、
件のマンションの前も、何度も往復していた。
いつもその中を見上げ、拒否され、立ち入ることな く。

なぜか今朝は気が向いて、ふと坂を上ってみた。

丘の上に行くまでもなく、
抑える間もなく、
ただ立ち止まって泣くしかなかった。

足下を見ると、銀杏の実が落ちている。
あの日、母と拾った実と同じ木の。



ここにすべてを置いてきた気がする。

 

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37

 

【最後の日】

 

最後の亀。


最後の日。


もう、撮っているものすべてが、
毎日、その日が見納めかもしれないものばかりだ。

昨日そこにあったものが、
明日にはもう、失くなってい る。

毎日どこかで。
その繰り返し。





今日の最後の日は今日。


あ の柳の最後の日
私は何をしていただろう。



せめてあの柳の木が最後に見たものが
この日の空のような
青い  青い

澄んだ青空でありますように…。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 


 

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