路地裏の歌 -Nostalgia-(35)
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この日はまた金毘羅様に行くつもりでカメラを持って出たのだが、装填したのは
期限が切れてからの写りが好きで、買ったときからわざと常温放置していたフィルム。
ほぼ期待通りの結果が出たけど、なぜこの日に選んだのかは記憶にない…。
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まず目的の金毘羅様に向かって桜田通りを下る。
出たのが昼近かったのと、天気が良かったせいで陽射しは強いが、
湿気がないので日陰に入ったり風が吹いたりすると肌寒いくらいの陽気。
ただ、GW初日の土曜日にもかかわらず、仕事中の人の姿が目立った。
特に工事現場は長期休暇前の最後の詰めなのか、
いつもよりざわついているくらいに感じた。
桜田通りは元々、歩くのが好きな道だが、この日は春の草花が多くて、
目的地に着くまでにずいぶんフィルムを消費した。
金毘羅参りのあとは、愛宕神社下の古い一角に久し振りに立ち寄り、
裏道をのぞきつつまた我善坊の路地へ。一休みした公園では
八重桜が散っていて、しばし木の下で葉桜になった木を楽しんだ。
ここから戻るか、飯倉片町に出るかでいつも迷ってたいてい戻るのだが、
この日は東麻布を縦に撮りながら帰る気になり、大通りを左折。
永坂に入るあたり、小山のように上って下る舗道(上ってそのまま左手に進めば狸穴)と
車道にもそのまま歩ける路側帯に分かれる箇所があって、
楽にそのまま下ろうかとも思ったのだが、せっかくだから上ることにした。
短いが、けっこうな急坂なのだ(下の写真の左突き当たりの坂)。
やっぱり急だな~と思いながら坂を上っていると、ふと視界が開けたとたん、
桜吹雪に包まれて、一瞬何が起こっているのか理解できなかった。
結局ちゃんと撮れていなかったけど(笑)
その古い八重桜の木から起こっていた花びらの吹雪は、
今まで見た中のどんな花吹雪よりすごかった。
そのあとまた風が吹いた瞬間、
自分と自分の視界が桜の花びらに包まれていたほどだった。
それに、ソメイヨシノが終った時点で桜も終った感覚でいたから、
何十の意味での不意打ちだった。
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あまりにそれに感動して、午後にもう一度わざわざ見に行ったら、
花びらもほとんど散り、日も翳り、まるで別の場所のようだったけど…。
でも考えてみたら、その時が別の場所だったんじゃなくて、
昼間に通った時のほんの一瞬こそが別の空間だったのかな、と思った。
運良く、その光景を、偶然そこに立っていた人と一緒に見られたことが嬉しかった。
(ほんとにすごかったよね、あの風が吹いた時…)
その後、東麻布を通って帰宅したあと、残りのフィルムを消化しつつ、
2本のフィルムへ現像しに十番のいつものラボへ。
撮影も、散歩も、そしてまさに吹雪と呼ぶにふさわしいあの花びらも、
天気と気温、そして路地裏の花たちも、すべてにおいて充実した散歩ができた日。
今日もありがとう。
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