白昼夢(40)
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2月24日から3月9日のこのアルバムはほとんどが元麻布。
特に建物の中のものは、以前住んでいたビルで撮影。
2棟が向かい合う形で建っていて、それぞれ1階部分はスタジオや倉庫、
上階も住居よりは事務所が多い、マンションではなくまさに「ビル」だった。
そして、母と最後に暮らした場所でもある。
ここは一度取り壊しが決まり、立ち退きがあったのだが、
その後しばらく閉鎖状態になっていたにもかかわらず、
結局1棟だけが取り壊されて今は駐車場になり、
もう1棟は壁を塗り直し、再び貸し出されているようだ。
残ったほうの1棟は坂に沿った5階建てで、
1階からと4階から出入りできるようになっている。
4階部分の出入り口があるのは本当に裏道で、
昔はそれこそ地元の人でも滅多に通らないような道だったが、
今は結婚式専用の商業チャペルができたせいで信じられないくらい人通りがある。
その裏手にあたる玄関の隣に、地下に広い邸宅がある。
今は空き家になっているが、チェッカータイルの中庭といい、
ガラスブロックの壁がある玄関といい、子供心にとても印象深い家だった。
隣に住んだのは大人になった一時期だけだったが、
子供の頃も近くに住んでいたし、親の知り合いだったようで、
小さい頃から知っている家だったのだ。
中庭には小さいけれどとても綺麗に葉をつける柳の木があって、
季節が来ると素敵な景観を作っていたのだが、
空き家になってしばらくするとその木も伐られてしまった。
そのままにしていてもなんの害もないはずの木を伐る神経が、
私にはさっぱり理解できない。
そんな思い出深い場所、そして朽ちかけていく場所を、
期限切れのアグフア400で撮ったら、まるで白昼夢のような写真になった。
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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。
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