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2008年1月の投稿

2008/01/26

ありふれた情景 1、2(53)

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1月26日~2月16日までのモノクロ写真。

枚数が多いので、メインサイトでは麻布周辺の1と、

職場と浜松町、有楽町で撮った2に分けた。

 

以前住んでいたマンションの隣に高層マンションが建ったとき、

すでに駅前なのにそのマンションからも駅直通にするとかで、

地下にも出入り口を作った工事は、丸2年かかった。

おかげで、2階に住んで、工事現場に面した窓辺が枕元だった私は、

ほとんどノイローゼと言っても言い過ぎではない状態だった。

 

起きている間は、テレビを最大音量にしても聞こえないほどの騒音。

寝るときは耳栓をするのだが、それも気休め程度にしかならなかった。

マンションが完成したあとも、それが建つ前とは比べ物にならないほど

外がうるさくなって、結局耳栓をして眠る習慣は残ってしまった。

 

ある時、耳栓をしたまま窓から外を眺めていて気づいたことがある。

聞こえてくる騒音が少ないと、眺めている町が、なぜか昔の風景に感じられるのだ。

不思議に思って考えた結論は、昔のほうが、今より騒音が少なかったということ。

町の中にいると慣らされてしまって気づかないが、

きっと渾然一体となった音が絶えず耳から入ってくるのだろう。

そしてその音は、確実に昔より増えているはずだ。

 

モノクロで撮ると、どんな風景でも昔の写真に見える気がする。

それも似たようなことなのかもしれない。

きっと昔より今のほうが、目に入る色が圧倒的に多いのだ。

だからモノクロだと、見慣れた現在の風景も、

どこか懐かしい感じがするのではないだろうか。

特に有楽町のこの場所は、昔の面影そのままなのでなおさらだ。

 

12

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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2008/01/19

汚れた虹(48)

47


偽りの虹の浮かぶ

その川は汚れている

 

  …君は知っている?

  知っているよね

  なぜなら君たちは優れているから

 

美しい場所は失われ続ける

君たちが糧を得る場所は

破壊されるば かり

ただ術もなく

その水に降りるしかない

 

 

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このアルバムは、1月19日の麻布十番~六本木~西麻布~南麻布(広尾商店街)と夜の十番商店街、

20日と27日の麻布十番~南麻布~白金~元麻布の写真の中から落着いた感じのものを選択。

 

南麻布、白金方面も、友達が住んでいたりで訪問頻度は結構高かった。

辺りを歩いたのはこれが久し振りだったので、懐かしい風景もあるが、

見慣れない風景もあってやはりこっちの方も変化しているんだと感じた。

 

古川、という川は、東京タワーと並んで自分にとっての原風景の一部だ。

昭和の前半までは本当に川に入って泳げたらしいが、

私が子供の頃は汚染がひどく、夏になると元麻布までドブ川の臭いが漂ってきたほどだった。

それがこの10~20年ほどで、綺麗とはいえないまでも、鯉や亀が生息し、

鴨、鷺、セキレイなどの姿が見られるほどには改善された。

やはり夏近くなって湿度の高い日には潮のにおいが町にも流れてきて、

田舎の綺麗な海のにおいとはまったく違うのだろうが、

それでもそれは記憶に染み付いた、自分にとってどこかほっとする香りなのだ。

 

その川に、綺麗になったとはいえ、まだこんな不法投棄や、油染みが浮かぶ。

それらのものは川に入り、川と同化していく過程で、無言の非難を発していた。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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町のノイズ(36)

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このアルバムは、1月19日の麻布十番~六本木~西麻布~南麻布(広尾商店街)と夜の十番商店街、

20日と27日の麻布十番~南麻布~白金~元麻布の写真の中から少し雑然とした町を選択。

 

空き地だった場所にはとっくにビルが建ち、落書きは消され、

瓦屋根のタバコ屋は広尾商店街にあったものだが、今はもうない。

十番商店街の裏道にあった八百屋は仮店舗へ移動し、建て直している。

ラーメン屋の木の扉はアルミになり、品書きも味気なくなった。

シュークリーム屋は店舗を広げ、シュー生地を詰めたオブジェは消えた。

 

たった2年の間に、めまぐるしく変わる町。

その風景が定着する間もなくまた新しい店になる。

 

町ではなく街に。

人が住み、繋がり、長く暮らす場所ではない。

ただ人が集まる場所。一過性の関係。

 

そんな国になってしまうのだろうか。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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2008/01/03

取り残されて(28)

08  

 

すべてのものに光よ降れ

たとえそれが

わずかだとしても

 

 

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1月3日、麻布十番と三田小山町、1月6日、麻布十番~東麻布、麻布台。

この写真は、麻布十番4丁目の裏道に落ちていたもの。

ラーメンのだしに使った豚骨がゴミ袋からこぼれでもしたのだろうが、

見つけたときはちょっとドキッとしった。今見ても少し不気味。

 

天気はいいのに、正月のせいか人気がなくて、異次元のようだった。

ただでさえ誰も通らないような裏道の、取り残されたような片隅にも光が当たって、

それが嬉しくもあり、物悲しくもあった。

 

真っ青な空に飛行船が吸い込まれそうで、慌ててシャッターを切る。

意外とスピードの速い飛行船をいつも取り損ねるのだが、

この日は辛うじて収めることができた。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

 

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2008/01/02

About Nobody(30)

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ほぼ

だれもいない。

 

 

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以前からやってみたかった、中野正貴さんの「TOKYO NOBODY」のパロディ。

だから、「ほぼ」だれもいない。
 

1月2日の麻布十番と元麻布にて。

正月休みを狙ったものの、早朝を逃したせいか、思っていた以上に人も車も多くて苦労した。

特に後半の有栖川公園の中の児童遊園は、普段なら常に人で溢れているから、

この日の撮影は成功だったかもしれない。久し振りのモノクロも楽しかった。

 

そして、この日で再確認したのは、道路を撮るのが好きだということ。

普段からまっすぐな道などを見ると無性にワクワクする。

歩道橋からの眺めも好き。

 

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アルバムはメインサイト路地裏の花たちにて。

 

 

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