『僧正殺人事件』
先日読んだ『毒入りチョコレート殺人事件』とそう変わらない1929年の作品だけに、
構成や翻訳などに古さはあるが、それらも、裕福で紳士で博識、冷静沈着、
そのうえ人情味もある探偵役のファイロ・ヴァンスの推理を見届けたいあまり、
途中からさほど気にならなくなった。
登場人物も皆個性がはっきりしていて、文体、文章の硬さを埋め合わせてくれた。
ただ、『これほど陰惨な事件』とか『恐ろしい事件』などという
表現が随所に出てきたことには少し食傷気味になったが。
また、『私』が著者のヴァン・ダイン名義になっている意味も今ひとつ理解できなかったし、長々と数学理論を持ち出して推理する割には、最後には『勘』みたいなところも(笑)
それでも、テンポがいいせいもあり、次々と起こる事件に惹き込まれた。
最終的に明かされる犯人の正体、ヴァンスのとった解決法なども意外と古さを感じさせない。今後も著者の作品を読んでみようと思う。
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