『王女マメーリア』
ダールと並び評されることの多い国内作家が阿刀田高氏であるが、
ともに『奇妙な味』を持ち味としているせいだろう。
ただし、ダールの方が毒はなく、より『御伽』的な感じ。
さもありなん、童話作家としての評価が非常に高く、『チョコレート工場の秘密』など、英本国ではあの『熊のプーさん』よりも人気があるということだ。
さて、『残酷』、『毒のある』などと表されるダールの物語の世界であるが、
本書を読むと、どうもそれが疑問に思えてきた。
もちろんそれらは大抵『隠し味として』と但し書きつきで表現されることが多いのだが、果たして本当にそうだろうか?
確かにダールの短篇は、最後の最後まで油断できない。
この人物の人柄の裏には何かあるのでは?
この言葉の裏に、何か悪意が隠されているのでは?
風変わりな登場人物や、明快でテンポのよい文体にあっという間に惹き込まれて
読み進みながら、そんな不安感が頭の片隅から消えない。
そして目も眩むほどの素早さと鮮やかさで魔術師がマジックを披露するかのような、意表を突く結末。
最後の1、2行を読んだ瞬間、まさにマジックショーを見せられた気分になる。
残酷といえば残酷。
皮肉といえば皮肉。
けれども決してひねくれてはいない。
時には、涙が出るほど感動するオチもある。
本書においては、短篇小説として文句のつけようがなかった。
本当に読んで良かった。素晴らしい作家との再開に感動している。
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